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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

. 皮膚埋め込み血糖値センサーを、上皮幹細胞のCRISPRゲノム編集により実現

  • 【出典】“Development of an Intrinsic Skin Sensor for Blood Glucose Level with CRISPR-mediated Genome Editing in Epidermal Stem Cells” Yue J, Li Y, Gou X, Wu X. bioRxiv Posted September 28, 2017.
  • マウス無細胞化真皮上で培養したマウス上皮幹細胞を、気相液相界面に暴露することで層化し、皮膚様のオルガノイドを生成、野生型マウスに移植することで、長期間定着。この同質遺伝子的移植プラットフォームを利用することで、挿入図にある遺伝子編集を加えたマウス上皮幹細胞を、血糖値をin vivoで測定可能とするバイオセンサーとして利用可能なことを示した。skin epidermal stem cells
  • 挿入図にあるGGBPレポーターにさらにGLP1とマウスIgG-Fcフラグメントの発現カセットを加えることで、GLP1-Fc融合タンパク質の発現・分泌と、血中のGLP1レベル上昇を実現した。GLP1/GGBP発現細胞を移植したCD1マウスでは、高脂肪食による肥満化が有意に抑制された。
  • 本手法は、糖尿病の診断・治療への応用に鍵らず、他の疾病の診断・治療へと展開可能である。

2アレル特異的PCRアッセイに基づきゼブラフィッシュへの点変異ノックインの最適化を実現

  • 【出典】“Successful optimization of CRISPR/Cas9-mediated defined point mutation knock-in using allele-specific PCR assays in zebrafish” Prykhozhij SV,   Berman JN. bioRxiv Posted September 27, 2017
  • ゼブラフィッシュにおける一本鎖オリゴデオキシヌクレオチド(ssODN)を修復テンプレートとするHDRを介した点変異ノックインの最適化;tp53cdh5およびlmna遺伝子をモデルとしてアンチセンス非対称オリゴの利用をはじめとする既報の最適化法を評価;tp53では、相同アーム35-nt90-ntを伴う126-ntテンプレートで効率が3〜10倍になり、F1世代への伝達率も20-40%に;AS-PCRにより偽陽性ノックインを検出。

3.DNAミスマッチ修復機構の影響を受けないリボソーム結合部位改変用オリゴ・ライブラリーの構築

  • 【出典】“Efficient engineering of chromosomal ribosome binding site libraries in mismatch repair proficient Escherichia coli” Oesterle S, Gerngross D, Schmitt S, Roberts TM, Panke S. Sci Rep. 2017 Sep 26;7(1):12327.
  • リボソ合部位(RBS)集による遺伝発現レベル調節は、原核生物の遺伝子回路や代パスウエイの最適設計に有用な手法である。6-bpから8-bpの小さな域を改することで、遺伝子翻の上方あるいは下方制御が可能であり、改のためのオリゴのライブラリー設計法も、RBS library calculatorMAGE Oligo Design Tool (MODEST)Empiric Model and Oligos for Protein Expression Changes (EMOPEC)Reduced Libraries (RedLibs)と数多く提案されてきている。
  • しかし、ライブラリーをCRISPR/Cas9遺伝集技によってホストに入すると、ホストに内在するDNAミスマッチ修MMR能が誘導され、RBS域の改変が起こらない場合がある。GLOS-RedLibs-supported library design
  • MMRはミスマッチのタイプとさに依存する。今回、オフタゲット変異度が高いMMR株の利用や、一段操作がえるMMRの一的不活性化の手段を取らず、MMRを回避可能なgenome-libraryoptimized-sequences (GLOS)をあらかじめ選択可能にするルルを整えることで(参照)この限界を突破可能なことを、E. ColilacZ遺伝子のRBSと、ビタミンB2生合成パスウエイの改への用で実証した。

4. dCas9が標的を探索する動態:E. coliS. pyogenesにて

  • 【出典】“Kinetics of dCas9 target search in Escherichia coli” Jones DL, Leroy P, Unoson C, Fange D, Ćurić V, Lawson MJ, Elf J. Science. 2017 Sep 29;357(6358):1420-1424.
  • Ypetで標識したdCas9を、36箇所のlacO1-結合サイトが組み込まれたpSMARTプラスミドを帯びたE. coli細胞で発現、isopropyl-β-D-thiogalactopyranoside (IPTG)の添加または除去により、lacO1-結合サイトからのLacIの遊離またはlacO1-結合サイトへのLacIの結合を開始させることで、dCas9-YpetlacO1-結合サイトへの結合可能性をオン・オフするプラットフォームを開発し、dCas9の動態を蛍光顕微鏡で単分子観察し、PCRで解析した。
  • その結果、dCas9は標的発見までに6時間を要し、標的候補への結合は30ms未満と見積もられ、標的に結合後は複製完了まで結合し続けることを見出した。探索時間を短縮するためには、dCas9sgRNAの濃度を高めることが必要である。
  • 一方で、S. pyogenesではCas9量がE. coli中のdCas9量のほぼ2倍にあたり、標的探索時間は1分程度と見積もられた。

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