~ Cell誌が求めるもの、それは従来の「精緻なメカニズムの解明」という枠組みを超え、「胸躍る先駆性と、深い感銘を与える創造性」で科学を前進させる研究だ。~
2026年9月17日発行のCell誌第189巻19号のEDITORIALのタイトルは、「進化する科学とともに進化するCell誌(Evolving Cell with evolving science)」です。
2026年9月17日発行のCell誌第189巻19号のEDITORIALのタイトルは、「進化する科学とともに進化するCell誌(Evolving Cell with evolving science)」です。
その冒頭は、「『Cell』に掲載される論文について、皆さんがどのようなイメージをお持ちかは承知しています。それらは長く、メカニズムの解明に重点を置き、『完全』で、深い生物学的知見を提示するものだ、というイメージです。...(途中省略)... しかし、私たちが『Cell』に論文を掲載するのは、単に長いからでも、メカニズムを詳細に扱っているからでもありません。それらが刺激的で、魅力的で、見る者に感銘を与えるものだからです。読者が知りたいと思い、有益だと感じるものを提供していると考えるからこそ、掲載しているのです。」という段落で始まっています。
そして、「本特集号の内容、そしてより広く科学の進むべき方向性について私が最も強く感じるのは、その多くが『共同の取り組み』であるという点です。... 科学を発展させるには、多種多様な学問分野の存在、そして科学コミュニティ全体の力が不可欠なのです(It takes a scientific village)。 私たちのAI特集号は、まさにその姿を反映しているのだと思います。」という段落から、読者に呼びかける最終段落に向かっています。
掲載基準の進化
- Cell は長文で精緻なメカニズム解析を伴う論文で知られてきましたが、今や「読者を惹きつけ、科学を前進させるか」の観点から掲載論文を広げています。
- 論文の長さは重要ではなく、短い論文フォーマット(short article)や、方法・参考文献の無制限化など、多様な表現方法を推進しています。
対象領域と編集体制を拡大
- 分子生物学中心の「お家芸」を超え、生態学、疫学、臨床試験、そしてAIといった新領域へ積極的に進出しています。
- かつて米国ケンブリッジに集中していた編集チームは、今や、北京、上海、ロンドン、アムステルダムなど世界各地に広がり、また、多様な専門性を持つエディターが結集して、各分野の研究者との対話を強化しています。
AI特集号に見る新しい価値観
- 特集号では、深い生物学的メカニズムを直接示さずとも、モデル開発やアトラス作成、評価基準(LLMの解釈力を測るLongevityBenchや、がん診断AIのOncoformerなど)の構築といった実用的な研究基盤を高く評価しています。
単一のラボによる完結型研究から、コミュニティ全体で共有して活用する「コレクティブ(collective)な科学」へのパラダイムシフトを反映し、Cellは伝統的な枠組みにとらわれず、科学コミュニティ全体に役立つ挑戦的な成果であれば、形式や分野を問わず広く歓迎していきます。
crisp_bioメモ
crisp_bioメモ
- これまでウェットな検証実験がないデータベースの構築やバイオAIは、Cell誌のようなバイオ分野のトップジャーナルへの掲載が難しいとされてきました。
- AIの研究開発には大量かつ良質なデータが必須であるという認識が広がってきた中でのCell 誌の宣言が、研究のエコシステムを支える情報基盤の構築や、バイオインフォマティクス領域にプラスの効果をもたらすことを、期待してしまいます。
出 典
”EDITORIAL: Evolving Cell with evolving science" John W. Pharm(1). Cell 2026-09-17. https://doi.org/10.1016/j.cell.2026.08.040
- Editor-in-Chief, Cell
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