(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/03/06    

  • 【出典】Imoto, N. et al. "B Cell Linker Protein (BLNK) Is a Selective Target of Repression by PAX5-PML Protein in the Differentiation Block That Leads to the Development of Acute Lymphoblastic Leukemia." J. Biol. Chem. 2016 Feb 26;291(9):4723-31. Published online 2015 Dec 24.(責任著者 早川文彦(名古屋大学))
  • PAX5B細胞の分化と維持に必要な転写因子である.PMLタンパク質は腫瘍抑制因子でありアポトーシス促進性因子である.PAX5 PMLは、急性リンパ芽球性白血病(ALL)において染色体転座t(9;15)(p13;q24)を介して融合している.
  • 研究チームは以前、PAX5-PMLがドミナンドネガティブ変異体として、PAX5の転写活性を阻害し、PMLボディー(PML nuclear bodies: NBs)を破壊してPMLの機能を損傷することを、報告した.
  • 今回、マウスの正常なプロB細胞へのPAX5-PML導入によって、白血病が誘発されることを示した.PAX5-PMLの導入はプロB細胞の分化を停止し、PAX5-PMLを導入したプロB細胞を移植したマウス8匹は全て63158日の間にALLの病態を示して死亡した.
  • PAX5-PMLが誘導した白血病細胞においては、PAX5-PMLのタンパク質発現が弱いために、PAX5-PMLPMLに対するドミナントネガティブ変異体として機能しないことが示唆された.
  • 一方で、PAX5は多くの標的をトランス活性化するがその中で、B細胞リンカータンパク質(B-cell linker protein: BLNK)がPAX5-PMLで誘導した白血病細胞において選択的に抑制されていることを見出した.これに対して、BLNKを強制発現させると、前白血病状態が消滅した.