(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/03/07)
[出典] 大和真由実, 〜 山田健一(機能分子解析/九大). "TEMPOL increases NAD+ and improves redox imbalance in obese
mice." Redox
Biol. 2016
Aug;8:316-322. Published online 2016 Feb 26.
- 肥満に関わる生体におけるエネルギー変換は、酸化還元(redox)反応で制御され、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの酸化型(NAD+)と還元型(NADH)はその反応の主役である.ここ数年、NAD+/NADH比を上げることが、エネルギー代謝の亢進、ひいては、肥満対策になるとするデータが蓄積されてきた.例えば、肥満マウスのNAD+/NADH比が通常よりも低く、NADHの酸化を促進してその比を上げることが考えられる.ところがその一方で、肥満マウスにおいては通常よりも酸化ストレスが大きく活性酸素種(ROS)産生が亢進することから、還元作用によってROSを減少させることが考えられる.
- 相反する酸化と還元を実現するために、研究チームは、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル(TEMPOL)の化学特性に注目した.TMPOLは一つには、活性酸素種であるスーパーオキシドや水酸基ラジカルと反応してオキソアンモニウムカチオンを生成し、続いて、NADHによって還元される.この過程で、ROSの還元とNADHのNAD+への酸化の双方を実現する.TEMPOLはまた、アスコルビン酸によってヒドロキシルアミンへと還元され酸化物デヒドロアスコルビン酸(DHA)を生成し、DHAが酸化還元サイクルを介してNADHをNAD+へと酸化する.
- 8週間高脂肪食を与えその後通常食に切り替えたマウス群、通常食のみを与えたマウス群、それぞれについてTEMPOL投与の有無を判定した.その結果、TEMPOLが、in vivo において、ROSの除去と酸化還元サイクル活性化の2種類のパスウエイを介してNAD+/NADH比を上げ、酸化還元反応のバランスを回復し、肥満を解消することを見出した.
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