- [出典] Woodsmith J, Apelt L, Casado-Medrano V, Özkan Z, Timmermann B, Stelzl U. “Protein interaction perturbation profiling at amino-acid resolution” Nat Methods. 2017 Oct 16.
- 次世代シーケンシング技術の普及により、健常者および疾病者における多様なゲノム変異が大量に同定される時代となり、主として統計的解析により、健常表現型および疾患表現型との相関が推定されている。一方で、変異が表現型に与える影響を1塩基の分解能かつ遺伝子数十〜数百のスケールで体系的に実験評価する技術は、それに大きく遅れを取っている。そこで、Jonathan WoodsmithとUlrich Stelzlらグラーツ大学とMPIの研究チームは今回、通常の酵母ツーハイブリッド(Y2H)法ではなく、リバース・酵母ツーバイブリッド(R2H)法に準拠し、タンパク質間相互作用を指標とするスケーラブルなゲノム変異判定法Int-Seqを開発した。
- 近年、タンパク質の発現または局在、タンパク質とDNAの相互作用ならびにタンパク質間相互作用の観点から数百の点変異のスクリーニングが行われた。また、飽和変異誘発技術の多重並列化により、標的タンパク質の全変異体ライブラリーの構築も可能になっている。しかし、非同義置換変異を効率的かつ体系的にエンリッチする技術が存在しないため、ゲノム変異の大規模スクリーニングは実現していない。
- Int-Seq法では、LexA:::HIS3 Y2Hレポーター2コピー、LexA::TetRレポーター4コピー、および、5箇所にtetO配列を含む合成プロモーター直下にADE2遺伝子を2コピー形質転換した酵母を利用し、選択培地上で、標的タンパク質ペア間の相互作用の有無を判定する。この合成プロモーターの設計・合成が本実験の成功の鍵であった。
- Int-Seqの実証実験として、Bardet-Biedl 症候群(BBS)の主たる病因であるBBSomeタンパク質複合体における要素サブユニット間相互作用に対して、各アミノ酸の変異が与える影響を、選択培地でエンリッチした相互作用阻害変異体の次世代シーケンシングから解析した。その結果、サブユニットの8種類のタンパク質・680残基にわたり、相互作用を破壊するアミノ酸変異1,036種類を見出した。Int-Seqで得られた結果は、先行研究の結果、及び、通常のY2H法と免疫沈降法による検証実験結果と整合した。
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