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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[出典] Hammond AM, Kyrou K, Bruttini M, North A, Galizi R, Karlsson X, Kranjc N, Carpi FM, D'Aurizio R, Crisanti A, Nolan T. “The creation and selection of mutations resistant to a gene drive over multiple generations in the malaria mosquito” PLoS Genet. 2017 Oct 4;13(10):e1007039
  • 遺伝子ドライブは昆虫集団を制御する強力なツールである。著者らは最近、マラリアを媒介するハマダラカの雌の繁殖力に必須の遺伝子を標的とするCas9のコンストラクトを送達することで遺伝子ドライブを実現した(Nat Biotechnol, 2016)。遺伝子ドライブ・コンストラクトは、配偶子形成時に自身と遺伝子破壊を、染色体から染色体へとコピーし(ホーミング)することで、標的集団の繁殖を長期にわたり抑制・抑止するが、一方で、遺伝子ドライブに対する耐性を獲得した亜集団が発生することも想定できる。
  • ケージ飼育において、標的遺伝子を抑制する遺伝子ドライブは4世代以上集団に急速に浸透したが、今回、25世代にわたり観察したところ、遺伝子ドライブの割合が、初期の増加から徐々に徐々に減少へと向かうことを見出した(下図参照)。
GeneDrive 1
  • この現象に相応して、Cas9によって標的遺伝子に小さな変異が発生し、その後、標的遺伝子がCas9に対して耐性を獲得し、機能を回復した。こうした変異は、遺伝子ドライブが存在するにも関わらず、正の選択のもと増加し続ける。
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