(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/03/12)
- 責任著者:西村善文(横浜市立大学)
- これまでに、HP1α(Heterochromatin Protein 1α)における球状構造クロモドメイン(chromatin organization modifier domain、以下CD)が、Lys9がリン酸化されているヒストンH3(H3K9me)に直接結合することが知られていた:CDに存在する芳香族アミノ酸が形作るカゴ(Drosophila HP1aの場合はTyr24/Trp45/Tyr48;マウスのHP1βの場合はTyr20/Trp41/Phe44)に、H3のテール領域に位置するメチル化Lys9が捕らえられ、CDの2本のβストランドに、H3のテール領域アミノ酸残基の5〜8が挟まれている.さらに、マウスHP1βとヒトHP1αにおいて、CDのひも状N末端領域のセリン(Ser11-14)のリン酸化によって、HP1αとH3の結合がより強固になることが知られていた.これらを含めて今回、等温滴定型カロリメトリー(ITC)、NMR解析、X線小角散乱解析ならびにレプリカ交換分子動力学計算(REMD)シミュレーションによって、HP1αとH3の結合機構を詳らかにした.
- HP1αの芳香族アミノ酸Tyr20/Trp41/Phe44が形作るカゴにH3のLys9が捕らえられている.
- HP1αのリン酸化の効果
- リン酸化されセリン4残基(10DpSpSpSpS14)とそれに続く酸性アミノ酸残基(15EDEEE19)を含むリン酸化HP1αのN末端領域は、陰性の伸びた"ひも"として伸びている.一方で、ヒストンH3のテールは、陽性(8RKmeSTGGKAPRK18)の"ひも"として伸びている.こうして、HP1αの"ひも"とH3の"ひも"が絡み合って、両者の結合がより強くなる.
- H3K9meに対する結合親和力は陰性な残基だけの"ひも"(10DpSpSpSpSEDEEE19)を伴うCDが最も強く、テールを削除したCDの300倍に達した.
- ["ひも"関連論文]
- 奥田昌彦(Okuda, M.) et al. "Structural Insight into the Mechanism of TFIIH Recognition by the Acidic String of the Nucleotide Excision Repair Factor XPC." Structure. 2015 Oct 6;23(10):1827-37.
- Okuda, M. & Nishimura, Y. "Extended string binding mode of the phosphorylated transactivation domain of tumor suppressor p53” J. Am. Chem. Soc. 2014 Oct 8;136(40):14143-52.

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