[出典]
  • Cosorich I 〜 Falcone M. “High frequency of intestinal TH17 cells correlates with microbiota alterations and disease activity in multiple sclerosis” Sci Adv. 2017 Jul 12;3(7):e1700492.
[背景]
  • 多発性硬化症(multiple sclerosis, MS)は、ミエリン特異的自己反応性T細胞が引き起こす中枢神経系(CNS)慢性炎症性脱髄疾患である。CNS自己抗原に高親和性のT細胞は健常人にも存在するが、通常は休眠状態にあり、肺や腸のような抹消組織で活性化しない限り、血液脳関門(BBB)を超えて脳における自己免疫疾患を引き起こすことはない。
  • MSの中で最も多い再発寛解型多発性硬化症(relapsing remitting multiple sclerosis:RRMS)は、臨床的再発または新たなMRIでの所見が見られる活性型と不活性型に分類される。RRMSの進行は、ミエリン特異的T細胞の断続的活性化と相関することが明らかになっているが、その調節機構はほとんど解っていない。
  • Th17細胞は、MS発症の鍵を握るヘルパーT細胞であり、ミエリン特異的T細胞によりインターロイキン-17(IL-17)を分泌する表現型を獲得し、病原性を亢進する。
  • MSの前臨床モデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎マウスでは、CNSヘの免疫細胞の浸潤を助長する炎症促進性T細胞応答によって脳の自己免疫疾患が駆動されることが示されている。MS発症にはB細胞とT細胞のサブセット群が協働するが、BBBを効率的に突破することが可能なエフェクターTh17細胞が、病原性T細胞のCNSへの浸潤をリードする。
  • モデルマウスに対してヒトでは、MS組織にIL-17が見出され、全ゲノムトランスクリプトーム解析によってIL-17が活性なプラークにおいて最も頻度が高い遺伝子と同定されたが、腸内におけるTh17細胞増殖の機構については殆ど解っていなかった。
[実験と成果]
  • Marika Falconeらイタリアの研究チームは今回、ヒト腸内環境がTh17細胞増殖をもたらす機序を、MS患者において探っり(下図 Fig. 1参照)、脳の自己免疫疾患は、特定の微生物叢の変化及び過剰なTh17細胞増殖と相関すると結論した。
  • 腸内菌叢におけるTh17細胞の増加が、MSの進行速度、ならびに、腸粘膜関連微生物叢の特異的変化と相関する。
Study Design microbiota alterations
  • 小腸組織から分離した微生物叢を16S rRNAシーケンシングで解析し、疾患活動性が高く腸内Th17細胞の頻度が高いMS患者と、健常者及び疾患活動性が見られない患者の微生物叢を比較した(下図Fig. 3参照)。その結果、前者の微生物叢は後者の微生物叢に比して、Firmicutes/Bacteroidetesの比率が高く、Streptococcusの相対量が多く、一方で、Prevotellaが少なく、ヒト小腸内において、Th17の頻度はPrevotellaの相対量と逆相関した。
microbiota alterations

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