(創薬等・構造生命科学ニュースウオッチ2016/03/18)
- 挿入図1にあるように、細胞質で翻訳・生合成されたポリペプチド(前駆体タンパク質)は、Secトランスコロンと呼ばれるタンパク質膜透過チャネルを介して細胞膜を通過し、細胞内小器官や細胞表面へと移行しタンパク質として機能する.

- 濡木と塚崎等による結晶構造解析などによって、原核細胞において透過チャネルを形作るSecY複合体が、ヘテロ三量体であり、最大のサブユニットSecYが、「ペリプラズム側に口を開いたじょうごと細胞質側に口をひらいたじょうごが結合し中央部にゲートが形作られた構造」をしており、不活性状態では、ペリプラズム側の口がプラグと呼ばれる部位によって塞がれ、細胞質側の口がキャプと名付けられたループ部分で蓋をされていることが明らかにされてきた.しかし、前駆体タンパク質がチャネルに挿入されていく機構は、疎水性シグナル配列が前駆体タンパク質をチャネルに誘導するとされている以上のことは不明であった.
- 今回、Harvard Medical SchoolのLong LiとTom A. RapoportらとWhitehead Instituteの研究チームは、 Bacillus subtilis 由来チャネルの活性状態での構造(SecY複合体とSecA-ATPアーゼならびにSecAに結合した生合成前駆体タンパク質の一部からなる複合体)を解き(挿入図2参照)、シグナル配列の認識を含むSecAが介在する前駆体タンパク質の膜透過機構モデルを提案した.

- 参考文献
- イヌのリボソーム、Sec61ならびにプレプロラクチン(黄体刺激ホルモン)ポリペプチドの複合体構造解析とシグナル配列による開口の分子機構(VoorheesとHegde, 2016 Science)
- 高度好熱菌Thermus thermophilus のYEG複合体の構造とポリペプチドの膜透過機構(濡木、塚崎ら、2016 Cell Rep.)
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