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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

[注] 本稿はCRISP_SCIENCEのCRISPR関連ツイート(2017年12月12-13日)に準拠しています。

1.CRISPR-Cas9遺伝子治療には、患者個人に特有なゲノム変異の情報が必須
  • Lessard S, ~ Orkin S, Caner MC. "Human genetic variation alters CRISPR-Cas9 on- and off-targeting specificity at therapeutically implicated loci" Proc Natl Acad Sci USA. 2017 Dec 11.
  • CRISPR-Cas9システムは、広範な疾病に対するゲノム編集医療を実現する限りない可能性を秘めている。その実現に向けてCRISPR-Cas9ゲノム編集の効果と安全を最大限高めるために、オンターゲット活性とオフターゲット活性の機構解明の努力が続けられている。しかし、Cas9を標的に誘導するgRNAの効率、安全および毒性の評価はこれまで、参照ゲノムまたは細胞株を対象として行われてきた。そこで、Matthew C. Canverら米国とカナダの研究チームは今回、個人ゲノムにおける変異の差異が、オンターゲット/オフターゲット活性に与える影響に着目し、分析した。
  • 具体的には、7,444件の全ゲノムシーケンス(WGS)から出発して、30種類の疾患関連遺伝子座を標的とする〜3,000 gRNAsの標的選択性を評価した:個人間の遺伝変異がオフターゲットのゲノムワイド・ランドスケープに影響を与え、PAMsの生成や消滅にも及ぶ;稀ではあるが、SNPsと挿入欠失変異(indels)によって、それぞれ治療の失敗や副作用に繋がるオンターゲット・サイトの改変と新奇オフターゲット・サイトが発生する。
  • CRISPR-Cas9遺伝子治療を進めるにあたっては、個人ゲノムをもとにした設計と評価が必須である。
2.[ニュース] CRISPR TherapyeticsはVertexと共同で、鎌状赤血球症とβサラセミアのCRISPR/Cas9遺伝子編集療法'CTX001'の実用化を目指す
  • CRISPR Therapeutics "Vertex and CRISPR Therapeutics to Co-Develop and Co-Commercialize CTX001 as CRISPR/Cas9 Gene Edited Treatment for Sickle Cell Disease and β-Thalassemia" News Release 2017 Dec 12.
  • CTX001は患者の造血幹細胞の遺伝子編集により胎児型ヘモグロビン(HbF)の発現レベルの高い赤血球細胞を産生させる
  • βサラセミアを対象とする第1/2相試験を欧州で申請、また、鎌状赤血球症を対象とする第1/2相臨床試験実施を米国で申請(Investigational New Drug Application)。
3.ウイルス遺伝子を全て欠損させた第2世代アデノウイルスベクターHCAdVによるCRISPR/Cas9の送達を実現
  • Ehrke-Schulz E, Schiwon M, Leitner T, Dávid S, Bergmann T, Liu J, Ehrhardt A.  "CRISPR/Cas9 delivery with one single adenoviral vector devoid of all viral genes" Sci Rep. 2017 Dec 7;7(1):17113.
  • Cas9遺伝子とgRNA発現ユニットをHCAdVに短時間で組込み(Figure 1-C 参照)可能とするプラットフォームを開発
one single adenoviral vector devoid of all viral
  • Cas9のニワトリβ-アクチン由来ハイブリッドプロモーターCBhによる恒常的発現とTetOn3Gによる誘導発現の選択(Figure 1-AのOption1とOption2 参照)、および、gRNAの多重化も可能。
  • ヒトパピローマウイルス(HPV)18、デュシェンヌ型筋ジストロフィー病因ジストロフィン遺伝子、およびHIVの補助受容体C-Cケモカイン受容体を標的として実証実験。
  • いずれのCRISPR/Cas9-HCAdVも、CRISPR/Cas9発現ユニットを、不死化細胞および初代細胞へ効率的に送達し、オンターゲットでdsDNAを切断。
4.ファージの抗-CRISPRタンパク質によって、タイプI-E CRISPR-Casヌクレアーゼを不活性化
  • Pawluka A, ~ Maxwella KL. "Disabling a Type I-E CRISPR-Cas Nuclease with a Bacteriophage-Encoded Anti-CRISPR Protein" mBio. 2017 Dec 12;8(6):6 e01751-17. [PDB ID] 6ARZ (C-terminal 6×His-tagged AcrE1 2.5 Å); 6AS4 (N-terminal 6×His tagged AcrE1 2.0 Å)
  • 20種類以上の抗-CRISPRタンパク質ファミリーが知られており、それぞれが特有のCRISPR-Casシステムを阻害する。トロント大学の研究チームは今回、Pseudomonas aeruginosaのI-E CRISPR-Casを不活性化する抗-CRISPRタンパク質AcrE1の構造を解析し(Figure 1 参照)、CRISPR-Casを不活性化する機構を明らかにした。
AcrE1-1 AcrE1-2
  • AcrE1は、CRISPR関連ヘリカーゼ/ヌクレアーゼCas3に結合してCRISPR-Casを不活性化するが(Figure 4参照)、不活性化にはAcrE1のC末端が重要。
  • AcrE1によって、タイプI-E CRISPRシステムをプログラム可能な転写抑制システムとすることが可能。
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