[注] 本稿はCRISP_SCIENCEのCRISPR関連ツイート(2017年12月13日)に準拠しています。

1.[プロトコル]CRISPR/Cas9-RNPを金ナノ粒子で細胞質と核へ送達
  • [出典] "Cytosolic and Nuclear Delivery of CRISPR/Cas9-ribonucleoprotein for Gene Editing Using Arginine Functionalized Gold Nanoparticles" Rubul Mout, Vincent M. Rotello. Bio Protoc. 2017 Oct 20; 7(20): e2586.
  • N末端にn個のグルタミン酸を結合し(E-tagまたはEn;nはグルタミン酸の数で通常15または20)、C末端に核移行シグナル(NLS)と6xHISタグを結合したCas9(以下、Cas9En)とsgRNAとを融合してCas9En-RNPを形成(30分)、次に、Cas9En-RNPをアルギニンで機能化した金ナノ粒子に付着させ(10分)、標的細胞と培養する(3時間)ことで、細胞質または核に90-95%の効率での送達を実現。
  • 本プロトコルに含まれていな前処理:金ナノ粒子の合成には数週間を要するが、大量合成(バッチ合成)と数年間の保存が可能;Cas9Enは、SpCas9遺伝子から通常の手法で発現・精製可能;sgRNAの合成あるいは購入
2.赤かび病原菌Fusarium graminearumのCas9ゲノム編集には、セレクションが必須
  • [出典] "Selection is required for efficient Cas9-mediated genome editing in Fusarium graminearum" Donald M. Gardiner, Kemal Kazan. Fungal Biol. 2017 Dec 6.
  • Cas9のコドン最適化とリボザイム発現系によるsgRNAの発現によりCRISPR-Cas9によるF. graminearumのゲノム編集を実現、防カビ剤による表現型スクリーンで浸透圧センサヒスチジンキナーゼをコードするFgOs1遺伝子のヌル型変異を同定。しかし、編集効率は極めて低く、標的変異クローンの解析にはセレクションが必須。
  • Cas9によるDSBからの誤った修復は主としてmicrohomology-mediated end joining (MMEJ)によることが示唆された。