出典
- "Pharmacogenomics of GPCR Drug Targets" Hauser AS, Chavali S, Masuho I, Jahn LJ, Martemyanov KA, Gloriam DE, Babu MM. (MRC分生研/コペンハーゲン大/スクリプス研/デンマーク工科大)Cell 2018 Jan 11;172(1-2):41-54.e19. Published online 2017 Dec 14.
背景
- ヒトゲノムの変異が薬剤の効用と安全性を左右する。2013年の試算によると、副作用によって米国だけで年間301億ドルのコストが発生していることから、薬剤標的分子の遺伝的変異を理解することが、副作用を低減しつつ効能と安全性を最大化する薬剤処方(個別化医療)に直結する。
- 上市されている薬剤の~34%がGPCRs標的薬であり、GPCRs標的薬の売り上げは上市されている薬剤の売り上げの27%に達する。FDA承認薬の標的が少なくとも108種類のGPCRsであり、過去および現在の治験薬がその他のGPCRs66種類を標的としている。また、GPCRsを含む複数種類の分子を標的とする薬剤も存在する。したがって、GPCRsは薬剤の一次的かつ二次的標的として薬剤応答の薬理学的特性を決定する。
- 薬剤応答の変動または副作用につながるGPCRsの多型が同定されてきたが、FDA認可薬の標的とされている全てのGPCRsにおける遺伝的変異の広がりと影響の解明には至っていない。著者らは今回、GPCR標的薬剤のファーマコゲノミクスのランドスケープの網羅的解析を実現した(Figure 1 参照)

標的GPCRにおけるミスセンス変異(missence variation, MV)の広がりと事例
- 1000人ゲノムプロジェクト由来健常人2,504ゲノムは、薬剤標的GPCRsの3分の1に平均68件のミスセンス変異を帯びており、その中で、一人あたり平均8種類が副作用との相関が既知の変異であった。1,762件のトリオ解析からは、〜300人の新生児のうち一人に、デノボ・非致死性・ミスセンス・生殖細胞系列変異が1件発生すると見込まれた。
標的GPCRの変異ランドスケープ
- ExAV (exome aggregation consortium (ExAC)由来の健常人〜60,000人のデータから、MVに加えて、機能喪失(LoFs)とコピー数多型(CNV)を含む変異ランドスケープを明らかにした。ランドスケープを3種類の変異の受容体あたりの件数とFDA承認薬の件数の2次元にマップし(Figure S2 参照)、多くの多型が存在するGPCRsの中に多くの薬剤の標的となっているものが存在することを見出した。
MVsと機能の相関
- 今回同定したMVsをGPCRsの機能部位にマッピング:GPCRとリガンドの複合体の196構造加えて論文および実験的に検証された翻訳後修飾部位(PTMs)に基づいて機能部位を同定したところ、2,036種類の変異が機能部位にマッピングされた
- SIFTとPolyPhenによる解析から14,192MVsのうち9,522 MVsがGPCRsの物理化学的特性に影響を与えると推定され、そのうち1,722MVsが2,036箇所の既知の機能部位にマッピングされた(Figure 4 (A)参照)。さらに、疾患、薬剤(39種類)および変異の間の相関も解析した(Figure 4(B) 参照)。
変異が及ぼす影響の実験検証など
- GPCRsを標的とする薬剤がNHSにもたらす経済的負荷も試算した(http://www.gpcrdb.org/mutational_landscape/economicburden)





コメント