[出典]"The target landscape of clinical kinase drugs" Klaeger S, ~ Kuster B. Science . 2017 Dec 1;358(6367):eaan4368 . イマチニブやクリゾチニブのような分子標的薬が白血病や肺癌の療法を革新した。この20年間で、プロテインキナーゼが創薬の主たる標的分子とされ、これまでに37種類のキナーゼ阻害剤(kinase inhibitors, KIs)が認可され、また、250種類以上のKIsの治験が行われている。 KIの標的タンパク質は一般に多重であるが、標的の広がりに関して一般にアクセス可能な情報は薬剤ごとに大きく異なり、限られている。KIの標的の広がりを完全に理解することは極めて重要である。それぞれのKIのリポジショニング/リパーパシグングの道が拓け、また、副作用とその機構を理解することが可能になる。 Bernhard Kusterら独・伊・エストニアの研究グループは今回、ケミカルプロテオミクスの手法(kinobeads )と定量プロテオミクス によって、243種類の認可薬または治験薬の標的空間をつまびらかにした。 標的となるキナーゼの種類数が1(極めて選択性が高いKI)から100以上までとKIによって大きく異なり、生物効果を特定の作用機序に帰することが困難である。 最近開発されたATP結合ポケットのアミノ酸残基と共有結合しキナーゼを不活性型に維持し続ける不可逆的KIsは、所期の標的である上皮成長因子受容体(EGRF)とブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)の他の多くのキナーゼを標的可能である。 今回評価したKIsは、220種類のキナーゼに対して、サブマイクロモーラーレベルの親和性を示した。これによって、ドラッガブルなキノーム(kinome)の俯瞰が可能になり、濃度と標的で決まる選択性の指標CATDS(concentration- and target-dependent selectivity)の定義も可能になった。 KIsのプロファイルは、ProteomicsDB において対話型で探索可能であり、また、目的にあわせたアプリケーションshinyApp によって解析可能である。 このデータベースと解析環境は多目的に利用可能である。例えば、初代細胞において腫瘍壊死因子-α(TNFα)とインターロイキン-10(IL-10)の産生を調節する塩誘導性キナーゼ2(SIK2)阻害剤の発見や、進行性固形癌を標的とするカボザンチニブのFLT3-ITD陽性急性白血病治療へのリパーパシング可能性の発見(細胞アッセイとマウス移植実験で確認)。
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