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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

(構造生命科学ニュースウオッチ2016/03/20)

  1. [論文] 低酸素をミトコンドリア病療法に:Vamsi K. Mootha (Harvard Medical School)
    • ミトコンドリアの呼吸鎖が先天的あるいは後天的に不全な状態において、生命活動を保護する因子をスクリーニング.
    • 〜18,000遺伝子を標的とする〜65,000のsgRNAのライブラリーを用意して、K562ヒト白血病細胞にCRISPR/Cas9システムを感染させ、複合体Ⅲ阻害剤のアンチマイシン投与かつまたはピルビン酸除去によりミトコンドリア病の細胞モデルとし、スクリーニングを実施.
    • 低酸素応答を抑制するVon Hippel-Lindau (VHL)因子の阻害が、ミトコンドリア病に対して最も効果的であることを同定.低酸素応答がミトコンドリア病療法として有効なことが示唆された.
    • ゼブラフィッシュモデルでも低酸素応答を抑制する経路の阻害によってミトコンドリア毒性が抑制され、マウスモデルでも低酸素環境下でミトコンドリア病の症状が改善.
    • Nature Review Molecular Cell Biology が「低酸素の効用」としてハイライト: Paulina Strzyz. “Benefits of oxygen limitation” Nat. Rev. Mol. Cell. Biol. Published online 2016 Mar 16.
  2. [論文] Conserved Oligomeric Golgi (COG)複合体の各サブユニットを欠損させたHEK293T株の解析:Vladimir Lupashin (U. Arkansas for Medical Sciences,)
    • COG複合体はマルチユニット係留複合体(conserved multisubunit tethering complex: MTC)の一種であり、細胞内膜輸送とゴルジの恒常性維持において重要な役割を担っている.これまで実験解析の手法が、先天性グリコシル化異常症Ⅱ型患者由来の繊維芽細胞を対象とするsiRNAによる遺伝子ノックダウンまたはタンパク質再局在化に限られていた.
    • 今回、CRISPR/Cas9によって、COGの各サブユニットを欠損させたHEK293Tノックアウト(KO)細胞株を樹立し、グリコシル化、膜輸送、細胞増殖、COGサブユニットの安定性、ゴルジマーカーの局在、ゴルジの構造およびN-グリカンについて分析した.
    • KOしたサブユニットによって影響が異なるが、いずれのKOもゴルジに不全をもたらした.HEL29T KO株は、COGを含むMTC解析に有用な研究資源である.
  3. [論文] コイの育種と遺伝学的研究のツールボックス:Han Wang (東呉大学)
    • コイは養殖淡水魚のほぼ10%を占める貴重な資源であるが、四倍体ゲノムであることと世代時間が長いことから育種と遺伝学的研究が極めて困難であった.
    • 今回、TALENとCRISPR/Cas9を使って、骨形成関連遺伝子sp7 , runx2 , bmp2a , spp1 およびopg 、ならびに筋肉形成抑制遺伝子ミオスタチン(mstn )を標的とする編集を試み、双方ともに、コイの育種と遺伝学的研究に有用なことを実証した:
      • TALEN:sp7 , runx2 , spp1 ならびにmstn への変異導入
      • CRISPR/Cas9;sp7a とsp7b それぞれへの変異導入と骨形成異常;mstnba への変異導入と筋肉細胞の顕著な増加;sp7a とmstnba の二重変異体作出

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