crisp_bio

論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

(構造生命科学ニュースウオッチ2016/03/20)

  • [出典] Willy Hugo et al. "Genomic and Transcriptomic Features of Response to Anti-PD-1 Therapy in Metastatic Melanoma." Cell. 2016 Mar 24;165:1-10. Published online 2016 Mar 17.
  • 進行性メラノーマの30〜40%が抗PD-1抗体に感受性を示すが、60〜70%は耐性を示す.この感受性と耐性拠って来る因子を明らかにすることを明らかにすることを目的として、化学療法の前処理が施されたメラノーマ生検組織を対象として、全エクソームシーケンシングによる体細胞mutanomes(ミュータノーム:変異の網羅的セット)解析ならびにトランスクリプトーム解析を行った.
  • 全体の変異量が、抗PD-1療法を施した後の生存率と相関したが、抗PD-1抗体に対する感受性とは相関しなかった.
  • DNA修復遺伝子BRCA2 の変異量は、耐性グループよりも感受性グループで顕著に高まっていた.
  • トランスクリプトームには、耐性グループに特有の特徴が見られ、これを“innate anti-PD-1 resistance:IPRES”と称することにした:
    • 上皮間葉転換、細胞接着、細胞外マトリックス・リモデリングおよび血管新生に関わる遺伝子が共に上方制御されていた.
    • 分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)を標的とするMAPK阻害療法が加えられたメラノーマに、IPRESが見られた.
    • IPRESを緩和することで、抗PD-1療法またMAPK阻害療法に対する感受性が高まる可能性が示唆された.
このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

コメントフォーム
評価する
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット