1.CRISPR技術により、ソニックヘッジホッグ(SHH)・モルフォゲンへの細胞応答を調節する因子をゲノムワイドでスクリーン
  • Pusapati GV, Kong JH, Patel BB, Krishnan A, Sagner A, Kinnebrew M, Briscoe J, Aravind L, Rohatgi R. "CRISPR Screens Uncover Genes that Regulate Target Cell Sensitivity to the Morphogen Sonic Hedgehog" Dev Cell. 2017 Dec 26.
  • NIH/3T3細胞を対象とするプール型CRISPRゲノムワイドスクリーンによりヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達を上方制御する因子と下方制御する候補因子を同定し、mESCからの神経前駆細胞(NPC)で検証。
  • 上方制御因子(Rab34, Pdcl, Tubd1など)のほとんどが繊毛の機能に関与し、Hhシグナル伝達において一次繊毛が中心的役割を果たすことを裏付けた。
  • 下方制御因子には、Megf8遺伝子とMgrn1遺伝子に加えて、テトラスパニン(tetraspanin)をコードするこれまでアノテーションが付されていなかった遺伝子を同定し、著者らは、この新奇遺伝子をAtthog(Attenuator of Hedgehog)と命名した。Atthogは、SmoothenedSmo)の細胞内移行と細胞表面上のSmoの分解を促進する。下方制御因子が欠損すると、SHHへの感受性が〜10倍以上になり、SHHによるNPC分化が調節を受ける。
2.[展望]CRISPR-Casの臨床応用に向けて、ゲノムワイドでの活性測定と、オフターゲットや個人に固有な遺伝変異がゲノム編集にあたえる影響の評価法の研究開発が必要
3.ミトコンドリア外膜局在輸送タンパク質をコードするTspo遺伝子のステロイド生合成に影響を与える機構を探る
  • Fan J,  Wang K, Zirkin B,  Papadopoulos V. "CRISPR/CAS9-mediated Tspo gene mutations lead to reduced mitochondrial membrane potential and STEROID FORMation in MA-10 mouse tumor Leydig cells" Endocrinology. 2017 Dec 28.
  • マウス精巣由来のMA-10 ライディッヒ腫瘍細胞株を対象とする実験;CRISPR/Cas9によりTspoのエクソン2に変異を導入した細胞株と、野生型細胞株を比較;ミトコンドリア膜電位の調節とステロイド産生急性調節タンパク質(STAR)発現調節を介する機構の存在を示唆
4.[レビュー]CRISPR/Cas9は蝶の翅のパターン発生と進化の謎を解く鍵である
  • Livraghi L, Martin A, Gibbs M, Braak N, Arif S, Breuker CJ. "CRISPR/Cas9 as the Key to Unlocking the Secrets of Butterfly Wing Pattern Development and Its Evolution" Adv In Insect Phys. 2017 Dec 28.
  • 鱗翅目の機能ゲノミクス;CRISPR/Cas9で翅のパターン形成と眼状紋発生の機構を探る(WntAが描くパターン、パターンのモジュラー構成、optixが色を彩る、色素遺伝子、眼状紋(下図参照)発生);モザイク現象のメリットと注意点;遺伝子ノックアウトを超えた操作
  • 関連ブログ記事「蝶の翅の美しさは2つの遺伝子に依存する」2017/09/19
CRISPR Cas9 as the Key to Unlocking
5.D-A (extra domain A)をもつフィブロネクチン(細胞性フィブロネクチン)のEDAエクソンのCRISPR/Cas9ノックアウトにより腫瘍増殖を阻害
  • Lv WQ, Wang HC, Peng J, Wang YX, Jiang JH, Li CY. "Gene editing of the extra domain A positive fibronectin in various tumors, amplified the effects of CRISPR/Cas system on the inhibition of tumor progression" Oncotarget. 2017 Sep 21;8(62):105020-105036.
  • ヒト上咽頭癌細胞株CNE-2Zとヒト大腸癌細胞株SW480および異種移植マウスにて検証
6.ヒトCNTN6遺伝子座のコピー数多型による神経発達障害モデルマウス作出
  • Korablev AN, Serova IA, Serov OL. "Generation of megabase-scale deletions, inversions and duplications involving the Contactin-6 gene in mice by CRISPR/Cas9 technology" BMC Genet. 2017 Dec 28. "Selected articles from Belyaev Conference 2017: genetics"
  • CRISPR/Cas9技術によりマウス第6染色体を標的とする大規模領域欠損、逆位および重複を実現;1,137 MbのDNA断片を標的とするgRNAs一組み、Cas9 mRNAおよびssODNをC57BLxCBAのF1受精卵599個の細胞質にマイクロインジェクションし、256個をCD-1マウスの卵管に移植;誕生したF0世代41匹のうち、NHEJによる不規則な変異を除いて、想定したメガベースの欠損、遺伝子重複および逆位を帯びた11匹を得、再編成された染色体は次世代へ継承された。今回作出したモデルマウスは、ヒトの3p26.3領域のCNVのモデルとして、Cntn6ノックアウトマウスよりも、適切である。
7.[レビュー]物理学者に向けたCRISPR-Casガイド
  • "The physicist’s guide to one of biotechnology’s hottest new topics: CRISPR-Cas" arXiv:1712.09865. Submitted on 2017 Dec 28.
  • CRISPR-Casシステムの基礎から応用までマルコフ過程などの数理モデルも交えて網羅した64ページのレビュー
  • 'CIRPS-Casの'CRISPR-Casシステムの物理的理解によって、CRISPR-Casシステムの応用が促進される'というメッセージ