- [出典] Meng Qiua, Dou Wang, Weiyuan Liang, Liping Liu, Yin Zhang, Xing Chen, David Kipkemoi Sang, Chenyang Xing, Zhongjun Li, Biqin Dong, Feng Xing, Dianyuan Fan, Shiyun Bao, Han Zhang, Yihai Cao. "Novel concept of the smart NIR-light–controlled drug release of black phosphorus nanostructure for cancer therapy" PNAS. 2018 Jan 2.
- 近年発見された新規2次元材料である黒リン(black phosphorus、BP)は、これまで光熱変換を利用するドラッグデリバリーの媒体(photothermal transducing agents, PTAs)として利用されてきた金ナノ粒子、グラフェン、遷移金属ジカルコゲン化物に優る数々の特徴を備えている:調節可能な直接遷移エネルギーバンド;高い光熱変換効率;容易な加工;化学活性が高く大きな積荷(薬剤)容量;優れた生体適合性と生分解性。
- 医学生物学分野でのBPの利用もすでに始まっている:BPナノシート(BPNS)やBP量子ドット(BPQD)がバイオイメージング、光熱療法(photo thermaltherapy, PTT)、光線力学療法(photodynamic therapy, PDT)およびドラッグデリバリー・プラットフォームに利用されている。
- 先行研究で、BPナノ粒子による癌光熱療法(*)などを発表してきた深圳大学の研究チームは今回、BPNSとアガロース・ハイドロゲルのナノ構造体に取り込んだ薬剤の放出を、体外からの近赤外光照射によって調節可能としたシステム’BP@Hydrogel’を開発した。
- BP TPAは、体内深部まで達する近赤外光を体内で熱エネルギーへ変換し、ハイドロゲル・マトリックスの温度を上昇させる。その結果、アガロースゲルでは可逆的な加水分解と軟化が進み、マトリックスからマトリックス外へと薬剤が放出されるに至る。
- 薬剤の放出速度/放出量は、内的条件(BPの濃度、そしてハイドロゲルの組成および薬剤濃度)と外的条件(近赤外光の強度と照射時間)の双方で精密に制御可能である。また、レーザー光を強めることで、オリゴマーまで融解・分解可能であり、尿から体外へ排出可能である。
- ヒト乳癌細胞株MDA-MB-231、ヒト肺癌細胞株A549、HeLaおよびマウスメラノーマ細胞B16および腫瘍を帯びたヌードマウスで、BPNS@Hydrogelの効果と安全性を確認し、癌組織特異的に抗癌剤を送達する手法として有望であるとした。
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