[出典]
- Zhen Liu, Yijun Cai, Yan Wang, Yanhong Nie, Chenchen Zhang, Yuting Xu, Xiaotong Zhang, Yong Lu, Zhanyang Wang, Muming Poo, Qiang Sun "Cloning of Macaque Monkeys by Somatic Cell Nuclear Transfer" Cell. 2018 Jan 24.
[CRISPR_BIO注]
- 上海の神経科学研究所のQiang Sunらは今回、体細胞核移植(somatic cell nuclear transfer, SCNT)によりクローン霊長類(カニクイザル; Macaca fascicularis)の作出に初めて成功した。正常に成長しつつある2匹は、Zhong ZhongとHua Huaと命名された。なお、Zhonghuaは中華を意味する。
- 遺伝的に均一なヒト以外の霊長類モデルを、二つの集団に分け、一方に、CRISPRゲノム編集技術によってヒト疾患関連遺伝子変異と相同な変異を導入し、もう一方の野生型の集団を比較解析することで、既存の動物モデルでは得られないヒトに外挿可能な知見の獲得を期待できる。
- Cell論文の責任著者であるQiang SunらのジャーナルCell Researchへの投稿(Letter to the Editor)"Generation of knock-in cynomolgus monkey via CRISPR/Cas9 editing"が、1月12日に刊行されている。
- 体細胞核移植参考図
[手法と結果]
- 卵母細胞からの除核、核ドナー細胞の培養、透明帯にレーザー照射で開けたスリットからのマイクロピペットによる注入法など、SCNTのプロトコルを最適化
- 卵母細胞と導入した核が融合して1〜2時間後に、イオノマイシンと6-ジメチルアミノプリン加え、トリコスタチンAを加えることで(以下、I/D/T)、確率は低いが良質な胚盤胞まで発生することを見出した。加えて、最近の知見に基づき一細胞期にヒト由来のH3K9me3脱メチル化酵素Kdm4dのmRNAを注入することで(以下、I/D/T/K)、胚盤胞への発生確率を向上させた(〜60%)。
- [サル胎仔線維芽細胞からの核移植] 127個の卵母細胞に核移植後Kdm4d mRNAを注入したI/D/T/K胚(以下、SCNT胚)109個のうち79個を代理サル21匹に移植、6匹が妊娠し、2匹誕生し、正常に成長(論文投稿時で50日/40日経過)
- [成体卵丘細胞からの核移植] 290個の卵母細胞に核移植後2細胞期から胚胞期のSCNT胚181個を代理サル42匹に移植、22匹が妊娠し、2匹が誕生したが、数時間(3時間後/30時間後)で呼吸器不全により死亡
- いずれのクローンサルにおいても、核DNAとミトコンドリアDNAは、それぞれ、核のドナー細胞のDNAとラ卵母細胞ドナーのDNAと一致することを確認
[関連YouTube音声付き動画]
- Clones of Dolly the Sheep Age Well(https://www.youtube.com/watch?v=H03gmKj-dUs)
- Move Over, Dolly: Scientists Clone Two Monkeys(https://www.youtube.com/watch?v=oEXleYs58MY)
[参考論文]
- [カニクイザルのCRISPR/Cas9ノックイン] Xuan Yao, Zhen Liu, Xing Wang, Yan Wang, Yan-Hong Nie, Liang Lai, Ruilin Sun, Linyu Shi, Qiang Sun & Hui Yang. "Generation of Knock-In Cynomolgus Monkey Using CRISPR/Cas9-Mediated HMEJ-Based Strategy" Cell Research. 2018 Jan 12.(研究所Webサイト掲載アブストラクトはこちら)
- [ドリー誕生ニュースの一例] Pennisi E, Williams N. "Will Dolly Send in the Clones?" Science. 1997 Mar 7;275(5305):1415-6.

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