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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

(構造生命科学ニュースウオッチ2016/03/29から転載)

  • [出典] Thomas H. Sharp, Abraham J. Koster & Piet Gros. "Heterogeneous MAC Initiator and Pore Structures in a Lipid Bilayer by Phase-Plate Cryo-electron Tomography." Cell Rep. 2016 Apr 5;15:1-8. Published online 2016 Mar 24. [EMデータ] EMD-3289: Subtomogram average of the membrane attack complex(分解能 23 Å)
  • 膜侵襲複合体(membrane attack complex: MAC)は、病原菌細胞膜に孔(ポア)を穿つことによって、哺乳類の病原菌に対する免疫防御機構を担っている.補体系の活性化過程で、C5b6、C7、C8ならびにC9が順次膜に結合・侵入することで本記事挿入モデル図のようなMACが形成される.

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  • ドイツの研究チームは今回、ガラス状リポソームを使用して、Volta位相板Falcon II電子直接検出カメラを備えたTitan Krios電顕から得た共グラフについてサブトモグラム平均化を行って、C5b-7、C5b-8およびC5b-9複合体の像を得て、C5b-9のポア構造を分解能2.3-nmで決定した.
  • 細胞膜上にC5b-7複合体がクラスターを形成し、C5b-8のオリゴマー化とともに膜が変形して孔が開き、C5b-9複合体によって脂質二重膜にポアが形成される.ポアはほぼ挿入モデル図の形状をとり、C5b-8から多重のC9へとつながる10-〜11.5-nmのコーン型であった.しかし、サブトモグラフには多様な形が見られた.
  • ポアが多様な形状をとることで、病原菌の多様な膜表面に対応可能にっていると考えられる.
  • [参考資料] 位相差電子顕微鏡が拓く新しいバイオイメージング(自然科学研究機構 永山國昭、2010)
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