229種類のドライバー遺伝子と>3,400種類の推定ドライバー変異を同定と機能解析
- "Comprehensive Characterization of Cancer Driver Genes and Mutations" Bailey MH , ~ Ding L. Cell 173, 371–385 April 5, 2018. ;Pan-CancerAtlasの"Oncogenic Process"に分類された論文の一つ
- 癌精密医療には分子レベルでの癌ドライバーの同定が必須である。このため、先進的な同定アルゴリズムが多数開発されてきたが、大規模なデータベースの解析を目的として、複数のアルゴリズムを組み合わせたメタ解析や最適化の試みは、これまでほとんど為されていなかった。Li DingをリーダーとするThe MC3(*) Working Group/The Cancer Genome Atlas Research Networkから、33種類の腫瘍型におけるドライバー遺伝子の同定とその機能解析の成果が発表された。
- TCGAの枠組みにおける複数のプロジェクトでそれぞれ、パスウエイ、遺伝子または個々の変異に基づいて、癌をドライブする細胞過程の発見、特徴付け、および優先順位付けを目的とするバイオインフォマティクス・ツールが開発されてきたが、癌をドライブする遺伝子および変異について必ずしも整合的な結論に至らず、偽陽性を判定するために専門家のキュレーションを必要としてきた。PanCancer Atlas projectでは、全てのTCGAエクソームデータを、Multi-Center Mutation-Calling in Multiple Cancers (*MC3)ネットワークにより、10,437腫瘍サンプル全てを偏りなく統一的に解析した。
- 26種類のバイオインフォマティクス・ツールによるin silico解析に加えてマニュアル・キュレーションを経て、MC3体細胞変異セットにおいて299種類の癌ドライバー遺伝子を同定
- 細胞株の実験解析による機能評価に加えて、前述とは別の8種類のツールおよび新開発のデータ集約法によって、表現型に大きな変化をもたらす変異を特徴付け
- 4種類のツールによりタンパク質立体構造データからの変異評価の結果、配列をベースとした解析とタンパク質をベースとした解析が相補的であることが明らかになった。これまでのPanCancer研究では未同定であったKLF5を含む66種類のタンパク質において変異クラスターを発見し、また PIK3CAとPIK3R1の界面などに存在する変異クラスターも同定したが、一方で、タンパク質レベルでは同定されなかったドライバー変異を配列解析で同定されるドライバー変異も存在した(本項について、crisp_bio 2018/04/10記事「タンパク質の変異ホットスポットから見た遺伝変異と癌化」参照)。
- コピー数解析、RNA定量、臨床情報との相関解析、機械学習、およびデータマイニングの5種類のツールによる解析も行い、300種類を超えるマイクロサテライト不安定性 (MSI)が、高レベルのPD-1/PD-L1と相関することも見出した。
- さらに、解析した57%の腫瘍に治療標的となる細胞事象が存在すると見積もった。
- crisp_bio'変異と癌化'関連記事:2018/04/08「Tuba-seqとCRISPR-Cas9多重遺伝子編集により、腫瘍抑制因子変異の組合せが癌化に与える影響を定量化」
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