crisp_bio

科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

1. CIRSPRが世界を変貌させる
  • "Gene Editing for Good" Bill Gates. Foreign Affairs April 10, 2018.
  • 近年、感染症や貧困に対する戦いは確かに前進してきたが、地球規模でみるとその前進は均一ではなく、未だ、2018年中に5歳未満の児童500万人が死亡し、数億の児童が疾病や栄養不調にさいなまれ、7億5千万人もが極貧生活を送る、と見られている。こうした問題を資金や資源の再配分によりある程度は解決するが、持続性な疾患や貧困の原因を取り除くためには、科学的発見と技術革新が必要である。
  • これからの10年、CRISPRをはじめとする遺伝子編集技術がグローバルヘルスの進展を前進させる技術の一つである。CRISPR技術によって、数百万人、特に貧困層、を苦しめている疾病の診断法や療法の開発や、発展途上国でより、その環境において栽培・飼育可能な良質な穀物(例 C4 rice)・家畜の作出が可能になる。科学者は安全性と倫理を守りCRISPRのような有望なツールの研究開発を進めるべきである。
  • Gates財団は、農業へのゲノム編集技術などの応用研究の支援とともに、ヒトゲノムを含むゲノム編集や遺伝子ドライブの技術を健全に発展させていく活動も支援していく。
2.CRISPRdisco:CRISPR-Casシステムを発見し機能を解析する自動化パイプライン
  • "CRISPRdisco: An Automated Pipeline for the Discovery and Analysis of CRISPR-Cas Systems" Crawley AB, Henriksen JR, Rodolphe B. CRISPR Journal 9 Apr 2018.
  • CRISPRdiscoは"CRISPR discovery"に由来する命名であり、ゲノム内のCRISPRリピートとcas遺伝子を同定し、システムのタイプとサブタイプを決定し、システムの完全性を記述する。NCBI RefSeqの微生物ゲノムをCRISPRdiscoで解析し、CRISPRまたはCasエレメントを5,201件のうち1,963件のゲノムとプラスミドで同定、CRISPRリピートと共局在するcas遺伝子が存在する完全システムは1,065件であった。
  • CRISPRdisco提供Webサイト:http://github.com/crisprlab/CRISPRdisco
3.[ミニレビュー] 寄生生物学を変えるCRISPR/Cas9システム
  • "The CRISPR/Cas9 system sheds new lights on the biology of protozoan parasites" Grzybek M., Golonko A, Górska A et alAppl Microbiol Biotechnol 06 April 2018.
  • CRISPR/Cas9システムによって、寄生生物学を難しくしてきた培養、維持および解析における課題が解決しつつあり、寄生原虫の遺伝子機能のダイナミックな解析が可能になり、病原性の機構解明が前進していく。
  • CRISPR技術の概要;Plasmodium falciparum, Toxoplasma gondii, Cryptosporidium parvum, Trypanosoma spp, Leishmania spp.ならびにTrichomonas vaginalisへの展開例
4.[レビュー]CRISPR/Cas:植物と非生物の相互作用を理解するための新しい手段
  • "CRISPR/Cas approach: A new way of looking at plant-abiotic interactions" Mushtaq M et al. J Plant Physiol 5 April 2018.
  • CRISPR技術の概要を紹介し、植物機能ゲノミクスにおける順遺伝学スクリーンの発展を辿った後、DuPont Pioneerによる耐乾性トウモロコシ作出の例などをひきつつ非生物的ストレス (環境ストレス)に対して回復力を帯びた穀物育種の観点からCRISPR/Cas技術をレビュー
5. CRISPRiによってKlebsiella pneumoniaeの乳酸合成を抑制
  • "Engineering CRISPR interference system in Klebsiella pneumoniae for attenuating lactic acid synthesis" Wang J, Zhao P, Li Y, Xu L, Tian P. Microb Cell Fact. 2018 Apr 5;17(1):56.
  • K. pneumoniaeは常在菌でありまた感染症を引き起こすが、産業上有用なバクテリアでもある。1,3-プロパンジオール、2,3-ブタンジオールおよび3-ヒドロキシプロピオン酸 (3-HP)などの化合物生産に利用可能であるが、3-HP生産にあたって、望ましくない副産物の乳酸の低減が課題であった。今回、CRISPRiによって4種類の乳酸合成酵素の発現を抑制可能なことを確認したが、その中でldhAの抑制が乳酸合成抑制に最も効果的であることを見出し、3-HPの産生を促進する酵素の発現と組みあわることで、3-HP産生の向上 (36.7 g/L)と乳酸産生の抑制 (1 g/L)を実現した。
6.CRISPR遺伝子座の解析により、妊産婦の膣内のB群連鎖球菌(Group B Streptococcus: GBS)の多様性を詳らかに
  • "Group B Streptococcus vaginal carriage in pregnant women deciphered by CRISPR analysis" Beauruelle C, Pastuszka A, Mereghetti L Lanotte P. J Clin Microbiol. 2018 Apr 4.
  • GBSは母子感染を介して新生児に感染症を発症する可能性がある。970分離株をCRISPRアレイをRFLPで解析し、異なるRFLPパターンごとにシーケンシングし、MLSTでタイピング。
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