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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[出典] "ovoD co-selection: a method for enriching CRISPR/Cas9-edited alleles in Drosophila" Ewen-Campen B, Perrimon N. bioRxiv Posted April 29, 2018. → G3 (Bethesda). 2018-07-31.
  • 目的とする編集が起きた細胞や個体をスクリーングする段階がCRISPR/Cas9ゲノム編集におけるボトルネックになっている。このボトルネックを解決する有力な手法が “CRISPR co-selection” ( “co-CRISPR” または “CRISPR coconversion”)である。CRISPR co-selectionは、細胞集団にCas9と異なる遺伝子座を標的とする二種類のsgRNAsを同時に送達すると、二遺伝子座のCRISPR編集が、ランダム現象より高頻度に、共起する現象に基づく手法であり、本来の標的遺伝子座と編集検出用遺伝子座 (表現型の変化を容易に識別・選別可能な遺伝子座を標的とするsgRNAsを用意する。
  • ショウジョウバエのCRISPR/Cas9ゲノム編集実験では、Cas9発現胚にsgRNAまたはsgRNAトHDRドナーを注入することから得られた遺伝的にモザイクの個体群を異系交雑しその子孫から標的遺伝子に変異が起きた集団をスクリーンする。このスクリーンは、目視可能は表現型変化を示さない遺伝子や、sgRNAによる遺伝子編集頻度が低い場合は特に、実験のボトルネックになる。
  • ハーバード大学医学大学院のB. Ewen-CampenとN. Perrimonは今回、co-selectionのための表現型として雌不妊を選択した。すなわち、雌不妊優性アレル ovoD1を標的とするsgRNAsを組み込み、ovoD1が編集を受けた結果得られた受精卵を選択する “ovoD co-selection”を開発した。“ovoD co-selection”で得た繁殖能力を示す雌3匹のうち2匹の子孫は目的とする遺伝子編集 (ノックアウトおよびノックイン共に)を帯びていた (ovoco-selectionについて原論文Figure 1引用下図参照)。ovoD co-selection
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