• 出典 [IN DEPTH]"A new cancer immunotherapy suffers a setback" Garner K. Science. 2018 May 11;360(6389):558.
  • 1年前、IDO阻害剤の未来は輝いていた。例えば、2017年6月開催のアメリカ臨床腫瘍学会 (ACOS)にて、第Ⅰ/Ⅱ相試験においてIDO1阻害剤エパカドスタット (epacadostat) とオプジーボの併用療法がメラノーマ患者40人中25人の腫瘍を縮小しオプジーボ単独療法の~2倍の効用を示したと報告され、その後も好成績が報告されていた 。
  • 2018年4月6日、IncyteとMerckは、切除不能あるいは転移性メラノーマを対象とするエパカドスタットとキートルーダ® (ペムブロリズマブ) の併用療法第3相試験ECHO-301/KEYNOTE-252において、ペムブロリズマブ単独療法を凌ぐ無増悪生存期間を得ることができずプライマリー エンドポイント(primary endpoint)を達成できなかったことから臨床試験を停止すると発表した*。
  • *) "Incyte and Merck Provide Update on Phase 3 Study of Epacadostat in Combination with KEYTRUDA® (pembrolizumab) in Patients with Unresectable or Metastatic Melanoma" Incyte Press Release April 06, 2018.
  • これを受けて、Incyteに加えてBristol-Myers SquibbとNewLink Geneticsの3社がのべ5,000人の規模のepacadostatまたは2種類の類似薬剤 (BMS-986205とindoximod (NLG8189))の第3相試験をキャンセル、中断または規模縮小すると発表した。各社ともIDO阻害剤の研究開発は継続するとしているが、臨床試験の停止や縮小は、免疫チェックポイント阻害剤と新奇薬剤の併用療法への熱狂が行き過ぎであったことを示唆している。
  • 一方で、第3相試験を急ぎ過ぎであったと認めつつも、ネガティブな第3相試験1つで、これまで報告されてきたポジティブな結果を捨て去るべきではない、という主張もある。
  • 免疫チェックポイント阻害剤投与後に腫瘍細胞においてIDOが生成され、IDOが免疫細胞内のアリール炭化水素受容体 (aryl hydrocarbon receptor: AHR)の間接的活性化を介して免疫チェックポイント阻害剤の効果を抑制するネガティブフィードバック作用が想定されているが、IDOによる免疫抑制の分子機構をさらに詳らかにする必要がある。また、AHRをはじめとするIDO阻害剤の標的も精査する必要がある。さらに、臨床試験にあたって、適切なバイオマーカーによってIDO阻害剤に感受性を示す患者を選別する必要も指摘され、すでに試行されている。