出典
- [論文] "Near-atomic model of microtubule-tau interaction" Kellogg EH, Hejab NMA, Poepsel S, Downing KH, DiMaio F, Nogales E. Science. 2018 May 10.
- [ビデオアブストラクト]YouTube 'Tau-tally Microtubular' (2m47s)
背景
- タウは微小管結合タンパク質(Microtubule-associated protein; MAP)の一種であり、プロジェクション領域 (N末端近傍領域とプロリン・リッチ領域)、不完全なアミノ酸リピート配列4種類(R1-R2-R3-R4)が連なった微小管結合領域(Microtubule-binding domain: MBD)およびC末端近傍領域で構成されている。
- タウの凝集 (神経原線維変化(Neurofibrillary tangles))は、アルツハイマー型認知症 (AD)や前頭側頭葉変性症などのタオパチーと称される神経変性疾患の病因とされている。タウ凝集は、タウの変異と異常なリン酸化によってタウが微小管への親和性を失い微小管から遊離することに因るとされている。
- 微小管 (下図左)は、微小管タンパク質チューブリンのαβヘテロダイマーが重合したプロトフィラメントが13本束ねられたバンドルで形成される中空な円筒の構造をとっている (下図右参照)。
- タウはプロトフィラメントの重合化ひいては微小管バンドルの安定化に寄与するとされているが、生理条件下で微小管に結合したタウのコンフォメーションについては諸説あり、微小管との相互作用に決定的に寄与するタウ残基、微小管結合部位、安定化の分子機構は定かではなかった。
成果
- UC BerkeleyのEva Nogales研究室は今回、クライオ電顕らせん対称体再構成法により、タウの全長、R1とR2、および、R1とR2それぞれの4回繰返し合成タウと、微小管との複合体構造を高分解能で再構成し、その枠組みの中でRosettaソフトウエアによるシミュレーションをワシントン大学のFrank Dimaiと共同で進めることで、タウと微小管およびチューブリン重合体との近原子分解能モデルを構築し (原論文 Fig. 4)、タウと微小管との結合様式、および、タウのリピート配列の 間で保存されている残基S262のリン酸化が微小管との結合を弱めADのマーカであることを見出した。
- YouTubeに'Tau-tally Microtubular!'のタイトルで投稿されたビデオ・アブストラクトにて、タウと微小管の基本的構造から始まり、タウのMBDのR1~R4が微小管のαβヘテロダイマー内およびαβヘテロダイマー間を結合し微小管を安定化させる機構まで、一目瞭然になる(安定化機構は1m56sあたりから)。
EMDB/PDB登録
- [表記注] R1とR2は1番目と2番目のリピート、4Rは4種類のリピート、x4は合成タウにおける同一リピートの繰り返し回数を意味する) (2018-05-12時点ではデータ未公開)
- EMD-7520 microtubule-bound shortened tau construct (WT residues: 197-304,368-400) (R1-R2 tau, 5.6Å分解能)
- EMD-7523 microtubule-bound shortened tau construct (residues 197-400 of full-length tau) (4R-tau, 4.8Å分解能)
- EMD-7522 microtubule-bound full-length Tau (4.1Å分解能)
- EMD-7769 synthetic tau bound to microtubules (R1x4-tau, 3.2Å分解能)
- EMD-7771 microtubule-bound synthetic tau (R2x4, 3.9Å分解能)
- 6CVJ - Model of synthetic tau (four tandem repeats of first repeat sequence) bound to the microtubule
- 6CVN - Model of synthetic tau (R2x4) bound to the microtubule


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