1.DNA修復テンプレートをCas9に共有結合させておくと、HDRが亢進する
1-1.ETH Zurich/U. Zurich グループ
- [出典] "Covalent linkage of the DNA repair template to the CRISPR-Cas9 nuclease enhances homology-directed repair" Savic N [..] Schwank G. eLife 2018 May 29; bioRxiv Posted November 11, 2017.
- SNAPタグとO6-ベンジルグアニンを介してCas9にHDRのドナーテンプレート (以下、テンプレート)となるDNAオリゴを共有結合させた上で、合成sgRNAとの複合体RNPとして送達し、Cas9とテンプレートが共有結合を介して共局在し、核におけるテンプレート濃度が上昇することにより、HDR修復効率が24倍にまで向上することを見出した; SpCas9, SpdCas9, SaCas9, SadCas9にて実験
1-2.U. Minnesota グループ
- [出典] "Increasing Cas9-mediated homology-directed repair efficiency through covalent tethering of DNA repair template" Aird EJ, Lovendahl KN, St. Martin A, Harris RS, Gordon WR. Commun Biol. 2018 May 31.
- ブタ・サーコウイルス (Porcine circovirus)のHUHエンドヌクレアーゼ (Nature Reviews Microbiology, 2013)を介してCas9-sgRNAとHDRテンプレートとなるssDNAを共有結合させることで (上図)、時空間的にテンプレートとCas9を共局在し、その結果、HDR修復効率が30倍にまで向上することを示した;SpCas9にて実証 (ペプチドタグ挿入-下図左、蛍光タンパク質修復-下図右)
2.CRISPR-Casにより、ヒト赤血球細胞における胎児型グロビン抑制因子を検証
- [出典] "CRISPR-Cas9 interrogation of a putative fetal globin repressor in human erythroid cells" Chung J, Magis W [..] Martin DIK, JE Corn, DeWitt MA. bioRxiv Posted May 31, 2018.
- 鎌状赤血球症とβサラセミアの療法として、成人型βグロビン変異を胎児型βグロビン(γグロビン)で相補する試みが続いている;UC Berkeley、UCSF Benioff Children’s Hospital、ヘルシンキ大学、理研などの共同研究グループは今回、γグロビンを高発現するが症状が重篤でない遺伝性高胎児血色素症 (HPFH)の表現型を誘導すべく、HBD遺伝子の上流の遺伝子間領域1.7 kB (下図参照)を標的とするCRISRP-Cas9領域欠失の効果を見たが、当該領域が抑制因子であることが、明確には示されなかった。
- crisp_bio関連記事: 2018-04-23 βグロビン異常症の遺伝子治療:成長にともなう胎児型ヘモグロビン遺伝子発現抑制の分子機構;2017-04-28 βヘモグロビン異常症を自然に倣って遺伝子治療する可能性
3.[特許公開] CRISPR/Cas様タンパク質または断片とエフェクターの融合タンパク質によるゲノム改変と調節
- [出典] "CRISPR-BASED GENOME MODIFICATION AND REGULATION" US20180135073. PubDate 2018-05-17. Inventors: Chen F, Davis GD. Assignee: SIGMA-ALDRICH CO. LLC
4.CRISPR/Cas9によるdUTPaseノックアウトが、マウスに早期胚致死をもたらす
- [出典] "CRISPR/Cas9-mediated knock-out of dUTPase in mice leads to early embryonic lethality" Palinkas HL, Racz G, Gal Z, Hoffmann O, Tihanyi G, Gocza E, Hiripi L, Vertessy B. bioRxiv Posted May 31, 2018.
- dUTPaseは、環境ストレスなどで発生する損傷したヌクレオチドを除去する主要なヌクレオチドプール浄化酵素である;これまでdUTPaseノックアウト・マウスは存在しなかったが、今回、CRISPR技術によるノックアウトが試行された;ヘテロ型変異体は、dUTPaseレベルが低減するが、生存可能であり、一方で、ホモ型変異体は、胚盤胞期を過ぎた後に胚性致死に至った。
5.dCas9-gRNAとエフェクターの融合タンパク質を介した標的エピゲノム編集によって、CHO細胞においてサイレンスされているST6GAL1遺伝子の発現を亢進
- [出典] "CRISPR‐based targeted epigenetic editing enables gene expression modulation of the silenced ST6GAL1 in CHO cells" Marx N, Grünwald-Gruber C, Bydlinski N, Dhiman H, Ngoc LN, Klanert G, Borth N. Biotechnol J. 2018 May 26:e1700217.
- 略号など:エフェクター(ここでは脱メチル化酵素のTET1の触媒ドメインとメチル化酵素のDNMT3A);CHO (チャイニーズハムスター卵巣細胞);ST6GAL1 (β‐ガラクトシド α‐2,6‐シアル酸転移酵素 1)
- これまで簡単ではなかったCHOにおける遺伝子の過剰発現やノック-ダウン/-アウトを始めとする遺伝子操作のツール開発を目的として、掲題標的エピゲノム編集ツールを構築;TET1によりST6GAL1の発現60%亢進を80日以上維持し、一方で、亢進した発現をDNMT3Aにより5.4分の1へと低減。



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