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出典
  • "Programming self-organizing multicellular structures with synthetic cell-cell signaling" Toda S (戸田 聡), Blauch LR, Tang SKY, Morsut L, Lim WA. Science 2018 May 31.
背景
  • 本論文の責任著者のW. A. Lim (UCSF)とL. Morsut (Lim研、現USC)はUCSF研究チームの2016年Cell誌掲載2論文にて (crisp_bioブログ2017-10-02記事参照*)、リガンドと転写活性化ネットワークを自在に組み合わせ可能とする合成Notch受容体 (synNotch受容体 (以下, synNotchR))を開発し、人工的な細胞間シグナル伝達パスウエイを創製可能なことを示していた。例えば、互いに直交するsynNotchRを組合わせから合成したシグナル伝達カスケードを経て3層組織を生成し、2種類の抗原が共存する腫瘍細胞を選択的に(AND論理回路に相当)破壊するCAR-T細胞を作出した (グラフィカル・アブストラクトビデオ・アブストラクト 6分)。
  • W. A. Limらはまた2018年1月にはScience Reports**にて、受容体型チロシンキナーゼAxlのモノクローナル抗体由来ヒト化Axl scFvを発現させたCAR-T細胞がAxl発現腫瘍細胞を選択的に障害する(下図左 Figure 3参照)ことに加えて、Axl-scFv組込みsynNotchRを導入したJukart T細胞とK562細胞を共培養すると、Axl陽性K562細胞に限りsynNotchが活性化し、synNotchが設計通りBFP蛍光タンパク質やIL-10の発現を誘導することを、報告した。
Fig 3 Fig 4
成果
  • 研究チームは今回、抗-CD19 scFv-synNotchR (以下、aCD19 synNotchR)と抗-GFPナノボディー受容体 (以下、aGFP synNotchR)の2種類のsynNotchRを素子とする細胞間シグナル伝達カスケードをプログラムすることで、多細胞組織の自己組織化を実現した。すなわち、生体の発生・分化を摸した器官形成回路を実現した。
  • aCD19 synNotchRとaGFP synNotchRは、それぞれCD19とGFPによって活性化し、同型接着を介して細胞の空間的配置を促す細胞接着分子カドヘリン4種類 (E-cadhi(高発現); Ecadlo(低発現); N-cad; P-cad)、および、シグナル伝達カスケードに細胞間シグナル伝達をフィードバックするリガンド (CD19またはGFP)の発現を誘導する。加えて、新たな細胞型のマーカとなる蛍光タンパク質を発現させるsynNotch回路も用意した。これらのsynNotchRを発現させたマウス繊維芽細胞を、接着性が低いU字型ウエルに収容し蛍光顕微鏡で組織化を観察した。
  • 二層スフェロイド自己組織化:青色蛍光タンパク質BFPとCD19を発現させた細胞 (sender cell: A細胞型)とaCD19synNotchRを介してEcadとGFPを発現する細胞 (receiver cell: B細胞型)を用意し、互いに分離している状態では組織化が起こらないが、両者を共培養すると、sender cellのCD19により活性化aCD19synNotchRが活性化されてreceiver cellにおいてEcadとGFPが発現してB細胞型かC細胞型が生成され、C細胞型が凝集したコアとそれを囲むA細胞型の層の二層スフェロイド形成。
  • 双方向シグナル伝達カスケードを介した3層スフェロイド自己組織化:A細胞型にEcadloとmCherryの発現を誘導するaGFP synNotchRを組込み、E-cadhiとGFPリガンド発現に改変したB細胞型を共培養し、両者の間の相互シグナル伝達を介して、A細胞型、E-cadhiとGFPを発現するC細胞型、およびEcadloとmCherryを発現するD細胞型の3層 (コアから外側へC-D-Aの順)スフェロイド形成;三層スフェロイドへの自己組織化は28ウエルの~90%で実現。
  • 3層スフェロイドは安定で自己修復する:スタンフォード大学で開発された細胞ギロチン (cellular guillotine***)で二分割したスフェロイドは25時間後にそれぞれ3層スフェロイドへと自己修復
  • 同一細胞型から二種類の細胞型からなる二層スフェロイド自己組織化:生体の発生過程で隣接する細胞の運命を抑制する現象lateral inhibitionを模したsynNotch回路をプログラムEることで、単一細胞型から二種類の細胞型を誘導し二層化;具体的には、CD19リガンド、mCherry, Ecadに加えてCD19の発現を抑制するためのTet抑制因子とマーカのGFPを発現するaCD19synNotchRを発現するA型細胞から出発し、EcadとGFPを発現するB型細胞とA型細胞の混合からB型細胞のコアとA型細胞の外層の2層スフェロイド形成
  • 非対称構造への自己組織化 (細胞極性の生成):Ncadを発現させる回路とPcadを発現させる回路を用意し、同型接着性 (Ncad-Ncad; Pcad-Pcad)と異型接着性 (Ncad-Pcad)の差を介して、上記のスフェロイドの対称性を崩した自己組織化実現
参考記事・論文
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