- [出典] "Extracellular vesicles in cancer — implications for future improvements in cancer care" Xu R, Rai A, Chen M, Suwakulsiri W, Greening DW, Simpson RJ. Nat Rev Clin Oncol. 2018 May 23.
- 癌細胞の持続的成長、浸潤、および転移は、複雑な組織環境内の双方向細胞間コミュニケーションに依存する。この細胞間コミュニケーションは主として腫瘍微小環境 (TME)内での癌細胞そしてまたは間質細胞から分泌される可溶性因子に依存するが、癌細胞/間質細胞はまた、細胞間コミュニケーションのメッセージに相当する分子を内包する細胞外小胞 (extracellular vesicles: EVs)を放出する。
- La Trobe Institute for Molecular Science の研究チームは今回、EVsの生物物理学的特性と生理学的機能について議論し、癌診断法と癌療法への応用をハイライトした。
- EVsはそれぞれ独自の機構で生成されるエクソソームと分泌マイクロベクシルの2つのクラスを包含し、各クラスはタンパク質やRNAで特徴付けされるサブタイプ(サブポピュレーション)を包含する。
- EVsは、オンコプロテインとオンコペプチド、さまざまなRNA種 (μRNAs, mRNAs, lncRNAsなど)、脂質、DNA断片を、ドナー細胞から受容細胞へ運搬し、TMEの表現型に顕著な変化をもたらす。近年、EVsが前転移ニッチ (pre-metastatic niche) の形成や転移を含む癌形成過程に決定的な役割を果たすことを示すデータが蓄積されている。
- 癌細胞が悪性ではない細胞よりも多くのEVsを分泌し、また、EVsを体液から分離可能になってきたことから、癌特異的分子マーカ(オンコプロテイン、mRNAs、lnsRNAsおよびDNA断片)を内包する循環エクソソームを、リキッドバイオプシーによる癌の診断、予後判定 (prognostication)、および癌のサーベイランス (定期的検査)ための次世代バイオマーカーへと展開可能である。
- 研究室間のでデータの比較共有と臨床応用を促進するために、EV亜集団の分離プロトコルの標準化が必要である。
- エクソソームは、治療分子のデリバリーの担体としても有力であり、また、癌ワクチンへの展開も可能であり、臨床診療の革新を牽引する。
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